これまでの自分のマーケティング経験を振り返りながら、誰かの役に立ったらいいなと一方的に書きなぐるブログシリーズ!

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はじめまして、マーケティングコンサルタントの福田 正義です。

こんな人に読んでほしいと思って書いてます!

  • ガチガチのマーケティング事例じゃないけど、マーケティングの事例知りたい人
  • なんでおんなじことをやっているのに他社はうまくいってるのに自社はうまくいかないんだ?って思っている人。
  • マーケティングとか何が面白いん?って思っている人。
  • マーケティングのやり方に行き詰ってる人
  • マーケティングのキャリアについて今後どうしようか迷ってる人
  • マーケティングとかじゃなくてもキャリアに悩んでいる人
  • 一介の作曲家 (え!!!!???)がどうやってマーケティングコンサルタントになるに至ったか知りたい人

さて、前回『弊社の広報チームが、「書いて!!!!!!!!!!!(怒)」って優しくいってくれたから』書くって言ってがんばって書いてみたんですが「やっぱり文章苦手( ノД`)シクシク…」って思って、やめたいって広報チームにぼやいたら、こんな返事がww

こうやっておだてられ、励まされ、書くことへのプレッシャーから逃れられず、第2回も書くことになりました(泣)

今回のテーマは、マーケティングのスキルは変遷していくってことと、それにどう向き合うのか?ってことを書いています。

それではよろしくお願いします。

★マーケティングの手法は常に変化する

マーケティングの手法や考え方の変遷について知ろうとするとき、フィリップ・コトラー先生の「マーケティングx.o」を引用しているブログやメディアをよく目にする。これ自体はただの1つの考え方に過ぎないが、とはいえ

「人々の価値観の変化、社会情勢の変化、技術の変化などによって市場や競合関係が大きく変わることが原因でマーケティングの考え方は変わる」

ということはマーケティングに従事する人のほとんどの人が理解している。

私がマーケティングの世界に初めて足を踏み入れたのは2005年3月、オーバーチュア株式会社という広告テクノロジー(以下アドテク)の会社に入社したことが始まりだが、特にインターネットをはじめとするデジタル技術を活用したマーケティングの手法の変化はこの15年で大きく変貌を遂げている。自分が当事者としてこのアドテクの業界に身を置くことができたのはとても幸せだった。

オーバーチュア株式会社(後にヤフー株式会社に買収される)は今でこそ当たり前になっているが、当時としては画期的な「検索エンジンの結果と連動して広告結果を返す」というリスティング広告を取り扱っていた会社。キーワードのオークションに参加する広告主の数も少なかったこともあって広告主の多くが広告の効果を感じ利益を得ていたことを覚えている。流石にこの時代にはインターネット自体は普及していたものの、それでも検索エンジンが今のように賢くなかった。またネットリテラシーが今ほどまだ高くなかったこともあって、検索結果の1位に広告が表示されれば大量のクリックを集めてコンバージョンが発生するものだから、多くの広告主はこぞって1位に広告表示されることにこだわった。当時は代理店経由の申し込みが8割で直接クライアントが申し込みしている割合は2割くらいだった。

余談になるが記事を書くのにいろいろ過去の資料引っ張り出していたら、『ブロードバンド世帯普及率36.2%(2005年2月時点)』なんていうインターネット白書2005のリンクを見つけた(笑)のでリンクを張っておく。
リンクはこちら

話を戻すが、その当時はオーバーチュア社はバージョン1.0(DTCというシステムw わかる人にはとても懐かしいww)を使っていたのだが、そのシステムはいたってシンプルで「キーワードの入札価格が一番高いやつが1位」にくるというお金さえ払えば誰でも1位を掲載できる仕組みだった。管理画面には他社がいくらつけているのかをリアルタイムで掲示がされていた。そのため、今では考えられないが、『「管理画面」を定期的にチェックして他社よりも1円多くの入札を行う』というアルバイトが存在していた。

サイトももちろん大事だったが、そこまで気を遣わなくても1位に掲載されたら費用対効果の高い広告が出せた。なんせクリック単価が9円とか10円で出せていたので、広告費そのものが安く抑えられていたためである。ただ、そこから十数年たつと、広告主の数は増え競争が激化する。それとともに入札価格が高騰し、費用対効果がどんどん悪くなっていったため、「出稿するだけで儲かって」いた広告主は差別化のために『サイト』に気を遣うようになる。リスティング広告のシステムも回収が加えられ、ユーザーの支持を集める広告(よりクリック率が高い広告)が上位表示される仕組みになったため、ユーザーの興味を引くための広告文作成の技術も向上していった。例えば広告文章の頭に「【公式】」とつけたほうが信頼感が増すとかこういったテクニックがノウハウ化し、書籍化されたりブログなどにより市場に出回ったため、多くの広告主のリテラシーも上がっていくことになる。

知識がコモディティ化していく中において、広告主自身も知識を蓄えて行き広告主間の競争は激化していく。インターネット広告は結果がデータですべてが可視化されるため、PDCAという言葉が一般化して行き、ABテストを繰り返して費用対効果を改善していこうとする過程で広告運用は複雑になり、広告運用オペレーターは日々広告費用対効果最適化のためにテクニックを駆使するようになった。さらにそれらを機械学習モデルに当てはめて自動で運用しようという動きもあり、最初は入札の上位に掲載しておけばよかったと思っていたが「実は2位のほうが購入率が高くなるのでは?」など、もはや人が判断するよりも膨大なデータを基に機械に判断を任せた方がよい時代になっている。

★マーケティングが変化するなかでどのように学ぶか

ますます複雑化していくデジタルマーケティングの世界において、その変化に対応するために、運用やオペレーションテクニックができる人材の「設定」「分析」「実行」など効率化を伴いながら、量産する仕組みが出来上がってきた。その背景は①こういったアドテクの進化に伴う複雑化と、②競争の激化に伴う費用対効果の改善、という2つの側面によるものが大きいと私は考えている。

加えて自動運用など誰でもが効果が出せるような仕組みの発展に伴って、技術的要素で差別化ができなくなりつつあることに加えて、広告主の費用対効果圧力に負けて代理店はマージン率を下げざるをえない状況を招いている。そのため、利益確保のためには、やはり分業させてオペレーションに特化させて人件費を下げていくという手段が取られている。

このような技術に寄った分業の結果、教育環境は悪化し、断片的な手法論や方法論の伝授に重きがおかれ、セミナーでは安易な成功事例のみが語られ、すぐに結果が出る短期的で表層的な教育のみが受け入れられるようになってきたように思う。

決して昔はよかったと懐かしんでいるわけではないものの、こうした『技術』の進化と変化に適用していくための人材の配置や教育は全体最適の観点では効率的ではあると思う。が、しかし、一方で、そこに実際に配置される個人にとってはマーケティングという大きな枠組みの中において、一つのピースとしての断片的な限られた側面からしかマーケティングに触れられないので、問題に当たったときに『表層的な技術的側面からしか解決の糸口がつかめない』という課題を生み出してしまっている。

「表層だけを謳うWebマーケティング会社が増えている。」

これは、先日某外資系の大手ソフトウェア会社で長年マーケティングやっている方と飲んでいるときにその担当者が言っていた一言である。その中で「最近の代理店はパフォーマンスが悪くなると『リスティング』とか、『DSP』といったメディアの代替提案しか持ってこないのが困る。あるいは広告文を変えましょうとか。とにかくメディアを取り換えればいいと思ってるんじゃないか?」とおっしゃっていた。

もちろん代理店の1つの仕事はメディアの提案である。が、多くのホームページを見ていると『マーケティングの課題を解決する』ことをコミットしているような書き方が多く、マーケティングパートナーを標榜するのであれば、課題と向き合うことなく手法論だけに頼るのはいかがなものかと私も思う。

一方で代理店がこのように手段ありきでメディアをとっかえひっかえして提案するのはクライアント側にも問題があるように思う。「丸投げマインド」になってしまうことへの問題は前回の記事でも少し触れたが、「丸投げマインド」になる一つの原因は発注側も費用対効果を意識するあまり、マーケティングの手法ばかりを学習して短期的な成果のみを良しとしてきたことが影響しているのだろうと感じる次第である。

★変わるマーケティングへの適応力を高める

冒頭で、マーケティングのやり方は変わっていくという話をした。これまで述べてきたようにそれはテクニカルな側面で多くの変化をもたらしているし、これからも多数の変化が伴うということは自明である。

ただし、マーケティングは決して技術的な側面だけで語るものでは無い。私の購買行動を振り返ってみると、自分が欲しいものを我慢できなくてついつい買ってしまうといった非合理的な感情的消費行動や、電池を買うためにコンビニに行ったはずが出てきたら袋にはお菓子と雑誌だけで肝心の乾電池を買い忘れたといった無意識的な消費行動は日常茶飯事だ。様々な価値観の変化や普遍的に語られる人間の心理的側面を語らずしてマーケティングを理解することはできない。つまり「マーケティングの変化への適応」という意味においては、『技術の変化』と『人間の価値観や心理の変化』双方の変化への適応が必要ということを意味している。

私自身も多くの技術側面に光が当たる現場を経験してきたし、技術の重要性を理解しているつもりである。だからヤフーをやめた後に起業した会社は当初は技術側面の追求!を謳って活動してきたわけだが(その話はまた今度のnoteで!)、マーケティング技術側面のみの変化に適用しようとして、結果バランスが悪くなって解決の糸口を見いだせずにもがいている人が現れた。彼らに対して『人間理解』という別の側面に光を与えて俯瞰してマーケティングを教えることができれば、時代をミクロ的ではなくマクロ的な視点でとらえ、変化に適応していくことができる人材を育成できるのではないか?と考えて本塾を立ち上げるに至った。

★あとがき

MERC Educationで教えていることは実はシンプルで、環境分析から施策立案に至るマーケティングのプロセスを12回に分けて教えています。

前の記事にも書いたのですが自分がこれまでに多くの実践中で得られた経験や教訓などを3か月のマーケティング教育に落とし込んだ実践重視のマーケティング塾で、本塾は現在もマーケターとして現役で働いている私と私のチームの経験を常に取り入れながら実学(実践学問)として教えているスクールです。いわば私の経験値をノウハウとして共有している場ともいえるのですが、これはつまるところ、「技術の理解」側だった人間が「人間の理解」を通して得た成功体験を実際の実務に落とせるようにと設計されたカリキュラムになっているともいえるので、多くの技術者マーケターの理解や共感を得られるのではないかと勝手に期待しております(笑)

宣伝も無事できたところで今回はこれでおわり!
長文読んでいただいてありがとうございましたm(__)m

マーケティング戦略を0から学べるスクール「MERC Education」を運営する株式会社MERCという会社の代表です。