※本記事は2020年4月23日に公開した記事を再掲したものです。

マーケティングに興味があるけれど、大学時代はマーケティング専攻ではなかったし、今現在開発職や営業職に就いているという方は多いですよね? そのような方でも、マーケティングを学ぶ意義は大いにあると思います。

今回は凸版印刷に技術職から入り、企画や運用などさまざまな職種を経て、現在ONE COMPATHにて、営業企画部門、商品企画部門、電子チラシサービス「Shufoo!」事業を統括するマーケティング部ゼネラルマネージャーの森谷尚平さんに、開発や営業などマーケティングとは異なる職種でもマーケティングを学ぶ意義についてお話を伺いました。

森谷尚平(もりやしょうへい):2008年、凸版印刷株式会社に入社し、店頭メディア「Samplin」や電子チラシサービス「Shufoo!」、ふたり専用コミュニケーションアプリ、「ふたりの」などコンシューマ向けメディア事業部の企画開発に従事。データマーケティングの経験を経て、現在はマーケティング部ゼネラルマネージャーとして、営業企画部門、商品企画部門、電子チラシサービス「Shufoo!」事業を統括している

「ものづくり」を広げた先にはマーケティングが必須だつた

福田:森谷さんがマーケティングに興味を持ったきっかけを、経歴を含めて教えてください。

森谷尚平氏(以下、森谷氏):マーケティングとの最初の出会いは、凸版印刷です。ただ、入社時は技術採用だったので、マーケティングとは関係ありませんでした。その後徐々に企画や運用、事業開発にも関わるようになり、情報メディアやサービスを事業として展開していく中で、自分の仕事領域や思考領域が広がって、自然に手段としてのマーケティングが必要になった形です。

なぜ技術採用から入ったかというと、もともと「ものづくり」が好きで、ものを作る仕事がしたいと思っていたから。子供の頃からおもちゃ作りが好きで、ずっとおもちゃ作りに関わりたいと考えていたんです。また、例えばテレビゲームとサッカーのように、デジタルな世界とリアルな世界の融合もやりたいとも思っていました。

大学院では動画像の符号化や、情報テクノロジー周りを研究をしていました。動画像の符号化というのは、動画を少ないデータ量でどれだけ綺麗に届けるかという技術です。僕が就職活動をしていた頃の凸版印刷に、「いい色」というウェブ上で画像を奇麗にして年賀状を作れるサービスがありました。そのサービスのような「ものづくり」に取り組みたいと思って、凸版印刷に入社したんです。

エンジニア、企画や運用。経験した全てのキャリアが現在の土台に

福田 : 入社後、実際に凸版印刷ではどのようなサービスに取り組まれていたのですか? 開発からキャリアをスタートして、どのような経験を積まれたのか教えてください。

森谷氏:入社1年目は、「いい色」を含むメディア事業の部署に配属され、「サンプリン」というリアルな店舗で展開する、セールスプロモーションマシンサービスの実証実験プロジェクトに参画しました。最初は開発として配属されましたが、プロジェクトの人手が足りなかったこともあり、開発から運用まで全てに携わることができました。その中にマーケティングの要素も含まれており、それがマーケティングに触れた最初ですね。

その後Shufoo!メディア化での開発ディレクションを経て、Shufoo!内にデータマーケティングを担うデータドリブンプロジェクトを立ち上げました。ここでは企画関連にも関わることが増えました。

さらに「ふたりの」という新サービスの立ち上げやShufoo!でのDMP構築、1年間のMapionへの出向を経て、現職の2019年4月にShufoo!事業の推進責任者となりました。現在は事業をドライブさせるためのビジネスモデル変革に取り組んでいるところです。

福田:いろいろなことをやっていらっしゃいますね。その中で、スキルはどのように積み上げていかれたのですか? 「ものを作りたい」からはじまり、そこからステップアップし、マーケティングを含めて事業全体を見るまでには、それぞれの過程でどういった気づきや学びがあったのでしょうか。

森谷氏:最初に参加したサンプリンのプロジェクトで、事前準備から立ち上げ、運用まで一連の流れを見れたことが、スキルを積み上げる土台として一番大きな経験になりました。その経験があったからこそ、企画の気持ちも分かるし、開発の気持ちも分かるようになったと思っています。いろいろな角度から物事を見ている方々の考えを吸収できたことによって、それぞれの領域の知見や経験を広げていくきっかけになりました。

また、データドリブンプロジェクトを立ち上げる中で、さまざまな業務の方と一緒に課題や目標を考えることによって、事業全体の理解度やスキルが深まっていきました。具体的には、プロジェクトにはサービス企画、運用、商品開発などさまざまな部署の方がいたので、それぞれが持つ課題を1人ひとり面談をして解決策を考えたり、目標設定をしたりしました。各メンバーがどのようなことを考えているか、さらに理解が深まったように思います。さらにその過程の中で、数字を見ることやデータマーケティングも勉強しました。

そのようなさまざまな経験全てが現在の土壌となっていますし、マーケティングにも役立っていると思います。

福田:若手社員が会社の中で知識や経験をどのように学べば良いか、何かヒントやアドバイスはありますか?

森谷氏:とにかく周りに頼ってみることが、とても大事だと思います。経験がない1年目であれば、仕事上の壁にぶつかったときに、IT、運用、設計、法務、経理、総務部、工場の人など、関係する全ての人に話を聞きに行き、頼る。そうすると彼らの仕事への理解が深まり、さまざまな分野について学び、吸収することができます。大事なのは、頼った人には必ず恩を返すようにすること。すると、また頼らせてくれるはずです。社内に味方を作るイメージですね。

(聞き手:福田正義、執筆:小磯侑、編集:筒井智子、写真:多田優人)

ー後編マーケティングは全ての職業に生きるものー社会人として生きていくのに大事なものとは」へ続く