今朝、たまたま読んだ日経新聞の記事の中にとある識者の声として、

『「どのデジタル通貨を使うかを決めるのは中銀や金融当局ではなく利用者だ。中銀にもマーケティングのセンスが必要になる」と述べた。』

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO62997180U0A820C2EE9000/

という一文があった。内容としては、ブロックチェーンなどをテーマに議論する国際会議「BG2C フィンサムBB」が都内で開幕しましたよという記事だが、企業だけではなくて、中銀のような中立的な立場の機関であってもマーケティングについては考える必要がある、という指摘。前後の文脈が詳細に語られていないので本件に関して詳細を述べることは避けるものの、「マーケティング」がいつでもどんな企業や時には中立的な政府機関などにおいても、身近な存在として語られていることはとても興味深い。

★マーケティングを身近に感じられる「ある思考」

前回自分がマーケティングの教育機関を作りたかった背景など”について触れたのですが、「誰でも」「気軽に」「簡単に」マーケティング戦略を学んでマーケティングのものの考え方を日々の思考に取り入れることができれば、マーケティングに従事する人はもちろんのこと、多くのビジネスマンにとって視野を広げビジネスの成功確率を上げるためのスキル向上につながるのではと私は考えています。

マーケティング戦略を図で示すと以下のようになります。現場では『環境分析→戦略立案→施策立案』といった段階を経て商品企画や販売促進の計画を行うため、やることも多いし堅苦しくなってしまいがち。なので、多くの人は「マーケティングって専門家がやることでしょ?」となってしまいます。

しかし、例えば、スーパーで買い物する際に「どういう意図があってこういう陳列がされているのか?」とか、自分が買うかどうかは別として普段立ち寄らないコーナーに足を運んで「どいういう人がこの商品を買うのか?」という想像をしてみるだけでも、意識せずに普段の生活の中でマーケティング戦略の考え方を自然と取り入れることができるようになり、マーケティングの感覚を身に着けることができるようになると私は考えています。


これは12回ある授業の最初の1回目を受け終わった受講生がツイートしてくれた内容です。マーケティングというのを何も複雑にとらえようとするのではなく、日々の生活の中において「自分が何に囲まれていて、普段何気なく利用しているサービスがどのようにして自分の手元に届いているか」を考えるだけでも、視野が広くなる経験を得ていることがわかります。

#mercedu

昨日は九州交響楽団のコンサートに行ってきた。

「このサービスは誰に向けたものなのか」

こう考えると、単に福岡のクラシック好きの人だけが対象じゃない気もする。それ以外の対象って誰なんだろう…??

ーひきたみく(@marketing_miku)August13,2020

私たちはこれを『マーケティング思考』と呼んでいます。
マーケティング戦略を一人の戦略家がしっかり作るというのではなく、誰もが先ほどのtwitterの投稿にもあるようにマーケティングの基本的な考え方に触れて、そしてそれを日々の生活の思考に取り入れて、行動するだけでも企業活動に大きな影響を及ぼすことを私はコンサルティングの現場で見てきました。

そのへんの詳しい記事はこちらのURLを貼っておきます。とても参考になります。

■「天才マーケターがいるかどうか」では決まらない!BtoBマーケの成否を分ける要因
https://markezine.jp/article/detail/30756

で、上記記事つながりで見つけたnoteがとても面白かったのでこちらも貼っておきます。

■100人全員がマーケティング思考を持っている組織は強い
https://comemo.nikkei.com/n/n532f551c5352

これら記事のなかに書かれてあることは、いずれも共通しており、ポイントは『マーケティング思考を身につけるのはマーケター以外の人こそ重要である』という点です。

★強いブランドとは

マーケターがいくら戦略を練って十分な施策を立案できたとしても、その製品に触れてお客様がコールセンターに電話してきた際に、オペレーターの対応が非常に不快な対応をしてしまったとしたら、顧客はそのブランドのファンにはならず、他社の製品を使うことになるかもしれません。

強いブランドというのは実は「製品が優れているから」というだけでは生まれません。よほど先進的な技術によって差別化されている唯一無二の製品を手に入れたのであれば別ですが、現在世の中に出回っている製品の多くは一般の消費者から見ると、ほとんど違いが認識できないようなものばかりなのです。 現在の世界において人々は「良いものと良いもの」の比較を迫られているため、製品の質そのものではブランドの違いを認識しづらいということです。

同じような事例で、アパレルの店員さんが過剰にセールスしてくるのが嫌なのでお店にはいりにくいって人がいる一方でカリスマ店員さん(今でもそういう言い方するのかなw ちょっとおじさんぽいです?)にあこがれてお買い物する人がいるのはまさに、良い服を作れば必ず売れるというものではなくてモノが売れるためには商品以外の要素が必要であることを示唆しています。また、マーケティング部門だけがマーケティングの思考を手に入れれば良いわけではないということも教えてくれます。

ブランドとは以下の図に示す通り、製品以外の価値によって違いが消費者の中に作られていくものです。マーケティングの戦略を指揮する人から、コールセンターのスタッフや販売店員に至る現場のスタッフまで、すべての人がマーケティング思考を理解することがマーケティングを成功させることにつながるといえます。

★マーケティングとはクリアが難しい面白いゲームである

しかしながら、マーケティング部門ではない・またはマーケティングに自分は関与していないという社内メンバーに対して、『はい!みなさんマーケティングを学びましょう!!』ってやったところで、当然のことながら「なんで自分たちにマーケティング?」という疑問符がついてしまうことでしょう。そんな時は、「マーケティング」という言葉を使わずに、各チームのスキルアップ向上を図る研修の一環で少しずつマーケティングの『思考』が身につくように少しずつ取り入れていけばよいのです。

普段の生活のなかで意識して「ゲームのようにマーケティングを感じるような機会」を会社の中で作っていくことができれば、Twitterでご紹介した当塾の大学生のように、マーケティング思考が楽しく、自然と身につくようになるでしょう。大事なのは、マーケティングが決して複雑なものではなくゲームのように楽しく、そして自分の業務に実は役に立つということを発見してもらうことなのです。

マーケティングは実は「シンプルなルールのわりに、複数の要素が複雑に絡んでクリアが難しい面白いゲーム」です。その簡単なルールゆえに多くの素人の方がゲームには参加してきますが、しかし、勝つためにはしっかり研究が必要である点が面白い、と私は思っています。

MERC Educationでは個人の研修のみならず、現場全体のマーケティング思考の浸透を目指す法人の集合研修なども行っています。個人・法人問わず、参加された皆さんの感想からは「こんな楽しいものだったんですねw」というものが多く聞かれます。まさにこれはマーケティングを「誰でも」「気軽に」「簡単に」身近なものにしたいという私の思惑なのです。

マーケティングを0から学べるスクール「MERC Education」を運営する株式会社MERCという会社の代表です。