マーケティングというジャンルに関して教えている学校は意外とたくさんある。

リスティング広告やアナリティクスの使い方などスキルを身に着ける目的で作られた講座もあるし、デジタルマーケターを育成することを目的として網羅的にデジタル広告の知識を身に着けることができる会社もある。そんな中で僕はMERC Educationというマーケティングの教育のサービスを作ろうと思った。

そうするに至ったのは1つの経験があったから。
今日はそんな過去の経験と、いったい「マーケター育成プラットフォーム構想」とは何ぞやという話を書いてみたいと思います。

★全くマーケティングを知らない人を採用したら気づいたらマーケティング会社で活躍していた経験

2012年の末にお世話になったヤフー株式会社を退職したあと、株式会社オモロワークスという広告代理店を作って、最初の起業をしました。やりたいことはある程度明確ではあったのですが、いかんせん1人で起業したので最初はとても苦しい感じでした。まあ、それはさておきなんですが、その株式会社オモロワークスも2年くらい経過したときにそれなりに社員も雇えて、オフィスも持てるように成長していたことに加えて、自分がマーケティングの支援をしている会社の売上がぐんぐん伸びているのを目の当たりにしまして、

「やべー!マーケティングすげーおもしれー!!!」

と、まあ、マーケティングの可能性に惹かれていたわけであります。
自分が学び、実践してきたマーケティングのスキルを使って、もっとたくさんの会社を支援したい!もっとたくさんの人の力になりたい!!という欲がとても湧いてきて気持ち的にとても勢いに乗っていた時期でもありました。
と同時に、2005年当時、マーケティングのマの字も全く知らなかった自分が10年ほどたってみてこんなにスキルアップできていて、かつ起業も経験できるなんて本当にマーケティングに出会えてよかったなと感謝もしました。

そんなマーケティング愛にあふれていた当時、たまたま1名の社員を採用することになりました。

その方は

  • 新卒1年目
  • 直前まで保育士
  • お会いした当時23歳
  • なんとタイピングができない!!!(←後から発覚w)
  • ビジネスについて全然わからない

こんなスキルをお持ちの方でした。

本人も絶対この記事を見るはずなんですが、もう時効だと思うのときっと許してくれるはずなんでかきます。ぶっちゃけ、その当時会社は儲かってたし、僕もまあまあ調子乗ってたり、まあいろいろあってノリで「採用するぞ!」って決めたわけでありました。もちろん、本人のやる気はめちゃくちゃあって、とても社交的だったので、成長してくれたら広告営業としてフロント立ってくれたらええなあというなんとなくの感じはありましたが。

で、いざ採用してみたんですが、
やはり、タイピングが全然できないというwwwwwwwwwwwwwwwwww

え?ってか、ここまでできない???っていう。。
大学時代パワポとかまあやってましたよって言ってたよね!そのレベルはちょっと。。。おおおおおおぁぁぁぁ!!!みたいな感じでした。(うまくニュアンス伝わってるかなぞですが雰囲気で読み取ってください)

その当時広告の仕事が結構入っていたので基本PC操作は必須でPC触れないのはかなり致命的な状態。任せられる仕事が何もなかったのです。

なので、最初のお仕事はタイピングのゲームをやるという、嘘のような本当のタスクをやってもらいました!!
タイピングゲームやって何点スコアが取れたかを報告するという。。。
今から考えてもこれは仕事なんだろうかというw

そして次はExcelを使って日報を書くという仕事wwwwwwwwwww
Excel操作に慣れるためですw
教育してくれる社員を1名つけて、PC操作のお勉強(なんて儲かってる会社なんだ!!)をやってもらい、「すこしずつ頑張ろうね!」と励ましながら、空いた時間で広告の仕組みをお勉強したり、ツールの使い方を勉強したりを繰り返していきました。

そんなこんなで3か月(結構長いwwwwwwww)が過ぎたころ、ようやく少しずつ広告運用チームのアシスタント的な仕事ができるようになってきました。簡単なPC操作によるレポートの作成などが少しずつできるようになり、ようやっとサポート業務に慣れてきたので、当初の思惑通りお客さん向き合いができるようにということで、少しずつ僕のコンサル案件に帯同してもらうことにしました。

最初は僕が全く何言ってるのかわからん、という状況からスタートしたので、

  1. コンサル前に今日何やるか福田から説明する
  2. コンサル先にとにかく同席してもらいわからない言葉や状況をメモしまくる
  3. コンサル終わったらわからないことを2時間くらいレクチャー
  4. レクチャー受けたことを自分の言葉で説明してもらう

という、1~4をひたすらに繰り返しました。
なんと足掛け6か月!

結論から言うと、彼女は1年後にこうなりました。

  • リスティングやディスプレイの運用ができるようになった
  • 一人でお客さんのもとにいって改善案を提示して、ディスカッションできるようになった
  • 分析の資料が作れるようになった
  • 彼女が初めて一人で手掛けた案件が顧客に認められ、広告費を倍増してもらえた
  • PCにソフトウェアをダウンロードしてインストールできるようになったww

まだ大型の案件は持てませんでしたが、本当に大きな変化でした。
その後ももともと社交的な性格もあって、お客さんとのコミュニケーションも円滑に進み、そしてチームにとってはムードメーカーになり、とても会社に貢献してくれる人材に成長しました。なによりも本人がビジネスの世界に身を置いて楽しい!本当に成長できている実感がある!と何度も言ってくれたことがとても嬉しかったです。

★この経験を通して学んだこと

彼女が成長したのには、僕の力というよりは、当時のチームメンバーがとても熱心にサポートしてくれたことが大きいです。本当に私はよいメンバーに恵まれて仕事ができていたと思っています。また、なによりも彼女自身が学ぶ意欲や、一生懸命努力する意思を示したことが大きかったと思っています。

しかしながら

  • ちゃんと教える人がいること
  • 実務として実践する経験を得ること
  • 共に学ぶ仲間がいること

この3点の要件を満たし、これに加えて「継続的な努力」があった場合、どんなにスキルがない状態であっても必ず目的とする結果にある程度のラインまでは到達できるということを知りました。繰り返しになりますが、

  • 学び
  • 実践し
  • 知識と経験を共有する

という3点の要素がマーケティング教育においてとても重要であり、逆に言うとこの3点がカバーできていれば後は本人の努力次第でマーケターとして活躍できるということをこれら一連の経験で私自身も学んだのです。

もちろんそのベースラインに到達してから先は、さらに勉強を重ねて経験を積んでいく必要があるわけですが、noteでもたびたび付言しているように、マーケティングというのは常に変化していく学問領域であって、実践を繰り返していかないと、どこかの時点で時代遅れになってしまうリスクをはらんでいます。

その点においては僕自身も努力し続けるループの中にいるわけで、少し僕のほうが先にマーケティングに触れてはいましたが、彼女も僕もひとたび同じ土俵の上に立ったら学び続けるという点においては対等であるといえます。実際に、僕はすでに広告のオペレーション現場から離れているため、細かい部分については彼女のほうがスキルが上になっているものも多々あります。

そのため、私も継続した学びと実践機会と共有を受けながらこれからも成長していくつもりです。

★MERC Education(マークエデュケーション)というスクールを作って成し遂げたいこと

MERC Educationはただの箱です。これ自体には何の意味もないと思っていますが、ただし、先ほど述べた3つの要件を満たす箱でありたいと考えています。

MERC Educationの運営母体である合同会社YuMKを作った時、
「社会課題を解決できるマーケターをたくさん増やすことで人々が豊かに過ごせる社会を作る」
というミッションを掲げました。

このミッションを達成するために
『マーケティングに関わる人が継続的に「学び」「経験を積み」「仕事を得て」活躍するための、マーケター育成プラットフォーム構想を構築する』

というビジョンを達成しようと思い、現在1年半の時間をかけてようやく以下のような事業プラットフォームを作ることができました。

「教育を受けた人」が「仲間とともにコミュニティで継続的に学び」ながら「マーケティング支援事業のインターンシッププログラム」を受け実務経験を積む。そして最終的には「マーケターを必要としている社会に出ていき良い人材として活躍する」ことを目指しているプラットフォームです。

法人目線で見ると、
・社員を教育しマーケティング思考を身に着けてもらうことで社員全員がマーケティングを武器として戦える会社に鍛える
・良い人材を採用してもらい、会社の戦闘力を上げてもらう
・合同会社YuMK自身が最良のマーケティング支援会社になってパートナーとして事業を共に成長させるお手伝いをする

ということになるのでしょうか。
個人、法人両方にとって「マーケター育成プラットフォーム構想」という考え方が浸透していき、想いがある商品が一人でも多くのユーザーに届く、そういった社会を作るための一翼をこういった事業モデルを通して達成していきたいと考えております。

★エピソードの後日談

実は株式会社オモロワークスで採用した彼女の成功を見た私たちは、その後、ひょんなことから「水商売を卒業したいんだけどきっかけがない!」と考えている女性に出会い、そして採用し、彼女もまた1人のマーケターとして活躍してもらえるようにと支援しました。どちらの社員も今も現役でバリバリ働いてくれています。

こういった経験を通して僕は「こうなりたい」という思いを持った人が、それに向かって平等に努力できるようなそんな世界を作りたいなーと考えてはいましたが、実際に事業構想を実現するまでそこから足掛け5年の時を要しました。たまに教育は手間がかかるとか、お金にならないとか、いろいろ言われることもありますが、この事業が今後も継続的な事業であり続けるために、自分の時間と労力を惜しみなく投下したいと思っています!

ところで先日、MERC Educationを卒業した学生の子がこういったツイートをしてくれていました。

MERCのインターン卒業してから、他の環境でマーケターやプランナー、ディレクターの方とお話しすると、マーケティングの定義や、その中身は、人それぞれ考えが違うんだと知ったけど、「商品を育て、お客さんとの対話を大切にする」感覚を始めに入れてもらえたのが今にすごく生きてる。 #mercedu

ー吉野瑞穂(@mizuho_yoshino7)September 12,2020

彼女はマーケティングスクールで学んだあと、インターンシップも経験したのち、別の会社で今は活躍しています。若い時にマーケティングの考え方に触れ、そしてマーケティングが示す本質的なものを見ようとするとき、その基礎となる考え方は長きにわたってビジネスを実践していく土台となるのだということを活躍する彼女を見てあらためて気づきました。

月並みな言葉で恐縮ですが、マーケティングを学ぶってやっぱり楽しい!!って思う毎日です。

おわり。

マーケティング戦略を0から学べるスクール「MERC Education」を運営する株式会社MERCという会社の代表です。